装置の設計概念
FISCHERSCOPE X-RAY XAN500 蛍光X線測定システムは、X線装置に関するヘルムートフィッシャー社の長年の経験を取り入れて、特にプロセス制御や品質管理につながるコーティング厚測定と素材分析が行える設計になっています。
XAN500は携帯可能な卓上ユニットとして小さな部品を高精度で測定したり、ハンドヘルドユニットとして大きな構造物を測定したりできます。また測定システム全体を簡単に移動できる設計になっています。
携帯可能な卓上ユニットは、小さなサンプルを確実に、簡単に設置できる設計になっており、信頼性の高い測定が行えます。
ハンドヘルドユニットを測定ボックスに取り付けると、卓上型の測定器になります。右図が示すように、小さなサンプルの位置決めと測定が簡単に実施できます。
また被ばく防止の観点から、安全性を重視した設計になっており、どんな測定条件下でも安全な測定が行えます 。
XAN500は携帯可能な卓上ユニットに早変わりします。ハンドヘルドユニットが専用の測定ボックスに組み込まれます。移動に適しており、卓上ユニットとしても測定できます。
移動できない大きな物を測定する場合や、特殊な場所での測定には、卓上ユニット(右図参照)から ハンドヘルドユニットを簡単に取り外して使用できます。
膜厚測定や素材分析を高い精度でおこなえるように、本装置は測定対象物に対して適切に配置できる設計になっています。
XAN500は非常に小型で軽量のX線チューブ、最大高電圧40kV 、出力4Wを採用しています。サンプル上の測定スポットは直径約3mmの円形です。最適なエネルギー分解能と、非常に短い計測時間で測定可能なシリコンドリフト検出器(SDD)が搭載されています。測定器のハウジングは非常に軽く、硬く壊れにくいマグネシウム合金製で、ハンドヘルドユニット(バッテリーを含む)は重量約1.9kg、携帯可能な専用測定ボックスは約8kgです。
実績のあるWinFTMソフトウェアを定量分析に使用しているので、大型のFISCHERSCOPEのX線装置と同様の基本的機能をXAN500で利用できます。また、WinFTMソフトウェアで素材、および合金層を容易に分析できます。
この処理は、標準サンプルを使用せず、信頼性の高い基本パラメータ方式に基づいています。統計学的評価、報告書、ドキュメンテーション、エクスポート用測定データ作成などができる豊富な機能により、プロセス制御と品質保証の作業を容易にします。
アプリケーション
Cr、Ni、Cu各層に対して、計測時間5秒間で同じ測定を5回繰り返した結果
XAN500は、様々な産業で使用される耐食コーティング、装飾コーティング、機能性皮膜などの測定が行えます。その範囲は、エレクトロニクス、自動車、航空宇宙、家電などです。主な用途の一例は、3層構造のクロムメッキのトリムストリップ(下表)です。わずか5秒の計測時間で、全ての層について非常に高精度な測定が得られます。
Cr / μm | Ni / μm | Cu / μm | |
1 | 0.201 | 7.60 | 14.53 |
2 | 0.199 | 7.58 | 14.48 |
3 | 0.199 | 7.58 | 14.52 |
4 | 0.199 | 7.59 | 14.48 |
5 | 0.201 | 7.61 | 14.55 |
X. | 0.200 | 7.59 | 14.51 |
S | 0.001 | 0.01 | 0.03 |
ZnNi/Fe層の厚さとNi含有量を5秒間の測定時間で測定
もう一つの例は、亜鉛窒化物コーティングの測定です。この場合、コーティングのニッケル含有量もコーティング厚と共に重要です。表2は標準的コーティングでの測定結果を示しています。この例でも、測定の再現性は短い測定時間でも非常に良い結果が得られています。XAN500は、携帯式であっても従来のフィッシャーの高品質を損なうことなく、様々な膜厚測定と素材分析を実行できます。
d / μm | Ni / % | |
1 | 7.44 | 11.58 |
2 | 7.45 | 11.62 |
3 | 7.43 | 11.59 |
4 | 7.46 | 11.58 |
5 | 7.47 | 11.61 |
X. | 7.45 | 11.6 |
S | 0.01 | 0.02 |